安行原自然の森(平岡山)の貴重種 マヤラン

 安行小学校の南側にある安行原自然の森公園(子どもたちは平岡山と呼んでいます)は安行の昔の自然をそのまま

に残す自然公園です。学校の授業でも、エコクラブの活動でも、大切な自然観察の場所となっています。この公園

には「わき水」の水路があり、オニヤンマが自生しています。またタヌキやフクロウも棲んでおり、目撃も数多く

聞きます。最近ではヒキガエルの産卵が一斉に始まって、池にはたくさんのヒキガエルの卵を見ることができます。

は虫類の専門の先生にお聞きしても、東京にこれだけ近い場所で、これだけのヒキガエルの産卵が見られるのは、

とても珍しく、貴重な場所だということです。

 この公園で、大変貴重な植物が平成25年に見つかりました。「マヤラン」という植物です。

 マヤランには根も葉もありません。あるのは茎と花だけです。普通の植物は葉で光合成を行い、根から水を

吸収して成長します。根も葉もないマヤランがどうやって花を咲かすのか不思議です。

 その秘密は地下茎にあります。マヤランの地下茎の細胞の中にはたくさんの菌類が共生しています。その共生

している菌類から栄養と水をもらってマヤランは花を咲かせるのです。マヤランは絶滅が心配されている種で、

絶滅危惧Ⅱ類(VU)に分類されています。マヤランを絶滅から救うためは、マヤランと共生菌、さらには周囲

の樹木の関係を詳しく理解する必要があります。そして、その樹木との生態系を守り育てることがマヤランを

絶滅から防ぐことになります。その生態系が安行原自然の森には、まだ残されています。

 マヤランという名前は、明治時代に神戸六甲の摩耶山で見つけられ、牧野富太郎博士によって付けられました。

摩耶山が名前の由来です。

平成25年6月15日にエコクラブで自然観察会を行いました。この時に、安行原自然の森公園のこの場所で

「マヤラン」が発見されました。埼玉県で何例もありません。

発見されたのは、講師で来ていただいた西川昭三先生です。西川先生は川口植物の会の代表をされている

植物の専門家です。今は「ふるさとの森」として親しまれている、安行の斜面林でイチリンソウ

を発見したのも西川先生でした。環境アドバイザーの横山隆さんもいらっしゃいました。

写真を撮り、記録されている西川先生です。この時のマヤランが下の写真です。マヤランは、毎年、順調に

この場所で花を咲かせていました。この土地から、さらに東の方へ、公園の下のほうに広がっています。

 ところが…

 最近の事ですが、この貴重種のマヤランが自生している所が、掘り起こされて、遊具がつくられました。

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

    すでに遊具が出来上がって、子どもたちは楽しそうに遊んでいます。

 来年以降、マヤランがどうなるかとても心配です。絶滅危惧種のマヤランをさけて、遊具ができれば

よかったです。子どもたちにとっては楽しい遊具です。しかし遊具の材質、色なども自然の森にふさわしい

ものであればよかったです。公園ですから子どもたちが遊べる遊具を作るというのはよくわかります。

子どもたちに親しまれる、そして、安全で楽しい公園であってほしいでしょう。

 ここには自然保護と開発をどうするかという難しい問題があります。

 川口市の公園課とは環境アドバイザーの横山さん、西川先生が連絡をとって事情を話していた

だきました。これをきっかけに、公園のあり方について公園課、専門家、学校、エコクラブで話し

合いを持つ予定です。

 安行の自然をどう守っていくか、ぜひ皆さんで考えていきたいものですね。地域の皆さん、学校、子ども

たちの声を反映していけるとよいですね。そして、みんなで安行原自然の森公園の自然、生き物を守り育て

ていきたいものです。