動物福祉(アニマルウェルフェア)の授業 5年 サマースクール 8月26日(金)

動物福祉の授業 1時間目

26日(金)5年生は1時間目から3時間目まで

動物福祉の特別授業を行いました。たくさんの講師

の方に学校に来ていただきました。

動物保護団体のアニマルプロテクトの濱中さん、

寺崎さんのお話から授業は始まりました。

「みなさんは動物や生き物を飼っていますか?」

・犬を飼っている人。

・猫をかっている人

・その他の動物、生き物を飼っている人

・特に何も飼っていない人

それぞれ4分の1ずつぐらいの答えでした。

学校で申し込んでもらったメダカやカブトムシを

飼っているよという人もいました。

授業は本題に入っていきました。クイズをしながら

楽しく考えていきました。

「犬の祖先はなんでしょう?」

 

犬の祖先はオオカミです。犬は大昔から人間と一緒

に暮らしてきました。

昔は人間と狩をする猟犬、あるいは敵から守る番犬

として飼われてきました。今は家族の一員として

室内で飼われることが多くなりました。

さらに問題が続きます。

何とも見た目の可愛いダックスフンドです。実は

人間がダックスフンドを作り出しました。

穴に逃げ込んだウサギなどをつかまえやすいように

足が短く胴が長い犬を人間が品種改良していきまし

た。背丈が低く胴が長い犬をかけあわせてできた

犬種です。

 これはコーギーです。コーギーも人間が作り出し

た犬種です。牧羊犬として育てられました。羊を追う

のにかかとをがぶっと噛むのですが、その時に羊に

蹴られないように背丈の低い犬が求められました。

 人気のあるダックスフンドもコーギーも実は猟犬

として品種改良された犬でした。その一方で胴長と

いうことで腰を痛めやすくなっています。

人間からすると猟犬や牧羊犬に都合のいい犬種とい

うことですが、犬の側から見たらどうなるのでしょう

か。

これはフレンチブルドックです。鼻ペちゃな犬です。

鼻が低い犬は闘犬として品種改良されていきました。

フレンチブルドックは可愛い愛玩犬として品種改良

されました。つまり人間が可愛い犬が欲しいという

ことで品種改良されたわけです。

鼻が短い犬は、呼吸がしづらく熱中症にもなりやす

いです。人間が可愛いと思って育てられた犬種です。

ここでも犬の立場から見たら、人間の勝手とうつる

かも知れません。

ここで下のような絵をみてもらいました。

今、日本中で起きていることです。

 小さくて可愛い犬がほしい

     ↓

 たくさん売れるからもっと小さい犬を仕入れたい。

     ↓

 小さい犬が人気だから、小さい犬を産ませて育て

 よう。

その結果…

何が起きているかというと、自然に赤ちゃんを

産むことができない小さな犬達です。動物病院

で何度も手術をして赤ちゃんを産ませています。

 

5年生の子供たちに、こういう事についてどう

思うか、またどうしたらいいと考えるか話し合

ってもらいスクールタクトに意見も書いてもら

いました。

 

何人もの子供たちが手をあげて意見を発表してくれ

ました。

 動物福祉の授業 2時間目

2時間目はドッグトレーナーの薬師寺さに犬とのふれ

あい方という事でお話をしてもらいました。犬のし

ぐさ(カーミングシグナル)をクイズを交えながら

説明していただきました。

はじめての犬とのふれあいの方法も教えてもらいま

した。

目を合わせないようにして、しゃがんでそっと手を

グーにして犬に差し出します。犬が臭いをかいだら

興味を持ったしるしです。もし犬がそっぽを向いて

いるなら関わるのはやめましょう。犬が安心して

向こうから近寄ってこれるようにすることが大切

です。かわいいと思ったから「わあ!かわいい」

と大きな声を出して犬に近づくのは危険です。

考えてみると、これは人と人のつきあいでも同じ

ことかも知れません。

続いて猫のお話になりました。猫の祖先はリビアヤ

マネコです。穏やかな性格なので人と暮らすように

なったようです。

 中国からの船に乗ってネコは日本にやってきたと

言われています。仏教の大事な経典をネズミから

守るために船に乗せられたというお話があります。

 昔、豊臣秀吉は市中にネズミの被害が多かった

ことからネコをつながず、外に飼うようにお触れを

出したそうです。それ以来、日本では外猫が多くな

ったようです。

 このネコですが悲しい殺処分の件数が犬よりも

多いです。保護犬、保護猫について川口市の保護猫

団体のアニマルサポートの白滝さん、川口市保健課

の職員さんからお話していただきました。

白滝さんから埼玉県の犬と猫の殺処分の数について

説明がありました。令和3年度は2年度の半分ほどに

殺処分は減っています!

しかし…それでも不幸な命が339頭もいます。犬

よりもネコが多いです。

川口市の様子をお聞きしました。

昨年は殺処分された犬は0匹になりました。素晴ら

しい取り組みですね。迷子の犬も引き取りの犬も

元の飼い主にもどされるか譲渡されました。

事故や病気で亡くなったしまったネコが多いとは

いえ、ネコの殺処分も0です。

県も市も殺処分される不幸な命が出ないように協力

しています。

(ワラビー動物病院ホームページの写真から)

続いて、ワラビー動物病院の動物看護士の方がzoom

でTNRについてお話をしてくれました。

 

 地域の野良猫がそのままだと赤ちゃんネコが増えて、

病気や事故にあったり、殺処分される不幸な命が数え

きれないほど生み出されます。

 そこで今いるネコの命を守り生きていけるように

捕獲して不妊手術をして元の場所にもどる取り組み

です。赴任手術を受けたネコは耳が一部分目印に

カットされるのでサクラネコと呼ばれています。

Trap(トラップ): 捕獲すること

Neuter(ニューター): 不妊手術のこと

Return(リターン): 猫を元の場所に戻す

 

子供たちの中からも地域の野良猫を保護して飼って

いるという報告がありました。

 TNRをすることで、ネコの大量出産を防ぐことが

でき、今いるネコ達の命を地域で見守ることはでき

ます。

しかし…このTNRも人間の側から見るのと、ネコの

立場から見るのでは違ってきます。TNRを題材に

人と動物がどう一緒に暮らしていけるのかというこ

とを考えていきました。

 動物福祉3時間目の授業

この時間はTNRについて意見を率直に出してもらい

ました。

授業を進めてくれたのは黛純太さんです。黛さんは

不幸なネコ達を減らすためにneconoteという会社を

起業しました。(株式会社neconote 代表取締役)

「みんなこれがTNRをするときに、ネコをつかまえ

る捕獲器です」

「TNRをすることで地域猫たちを見守ることができ

る。それはそうなんです。」

「でも、エサを食べようとしたら檻につかまって、

注射を打たれて眠らされて、手術されてします…」

このTNRについて、みなさんはどう思いますか?

賛成か反対か〇か×でスクールタクトで答えてみて

ください。

スクールタクトのアンケート機能を使ってその場

で集計をして子供たちに見てもらいました。

さあ、みんなどう考えるか意見を言ってください。

子供たちから次々と手があがり話し合いをしました。

・ネコからすると勝手につかまえられて手術される

なんてかわいそうだよ。

・殺処分を減らすためにはしょうがないと思う。

・もっと他にいい方法はないのかな。

・ネコたちをどこか場所を決めて放してあげたい。

・ネコカフェとか人とネコが一緒に過ごせる場所

を増やしたらいい。

・ネコだって赤ちゃんが自然にほしい。

子供たちからたくさんの意見が出ました。算数の計

算を解くようにすっきりした答えは出てきません。

人と動物が一緒に幸せに暮らせる社会を作っていき

たい。そのためにどうしたらいいのか。すぐに算数

のテストのような正解は出てきません。これからも

ずっと考えて続けて、よりよい答えを見つけていき

ましょう。

 黛さんから、今取り組んでいる仕事についてお話

がありました。ネコと人間が一緒に暮らせるシェア

ハウスです。1人、あるいは1家族が1匹のネコを

飼うというのではなく、たくさんの人がつながり

ながら複数のネコを飼っていくというシェアハウス

です。すでに設計は終わって建て始めるそうです。

これまでの考えにとらわれずに、新しいアイデア

です。人と動物が一緒に幸せに暮らせる社会の実現

を考えていきたいものです。