4年 2学期総合
     「わたしたちの未来とロボット」

 4年生の2学期の総合では、「わたしたちの未来とロボット」をテーマに学習を進めてきました。
授業にあたっては埼玉大学教育学部准教授野村先生をゲストティチャーとしてお迎えしました。

10月21日(水)第1回目授業

野村先生は東京工業大学院博士課程修了後、埼玉
大学教育学部準教授として、将来小中高の教員を目
指す大学生と友に「学び方 」と「教えた方」について
研究されています。
世界中の子ども達が参加するロボットコンテスト
「ロボカップジュニア」の運営委員もされています。
子どもたち真剣に野村先生の話に聞き入っています。
内容は大学の講義さながらです…
「みなさんが頭に浮かべるロボットの絵を簡単に絵
にかいてみてください。
子どもたちが描いたロボット。四角いロボットが多い
ようです。
野村先生は「少し前は、ドラえもんの影響か、○い
ロボットが多かったですね」「また四角いロボットが
増えてきましたね」とお話されていました。
ロボットとしてはアニメーションやSFにおけるキャラク
ターがあります。実際、ロボット研究者達も子ども時代
のアニメーションやSFに影響を強く受けていると言わ
れています。子ども達にもっとも
この写真はガンダムですが、子どもたちに身近なロ
ボットと言えば「ドラえもん」でしょう。「ドラえもん」は
ヒューマノイド、人型ロボットです。自分で考え判断し
行動する自律型ロボットとしてはロボットの典型の1
つです。
ロボットの実現はまだはるか未来のことのように思わ
れていますが、すでに今年2月にはソフトバンクから
人型ロボット「pepper」が発売されました。人間とロボ
ットが生活する近未来の社会がすでに到来しています。
人間とロボットがどう共生していくのかという問題は、
未来の問題ではなく、今を生きる私たちの目前の
課題としてやってきています。

まずロボットとは何かその語源から説明がありました。
これは犬型ロボットです。子どもたちからは「かわい
い!」と歓声があがりました。素朴な質問もどんどん
出てきました。
ロボットを辞書に従って「一連の作業を自動的に行う
よう設計された装置」とするなら、わたしたちの身の回
りはすでにロボットだらけではないでしょうか。
洗濯物の量や汚れに合わせて自動で洗濯する洗濯機、
人を感知し気温に合わせて冷房するエアコンなどは、
すでに洗濯ロボットであるし、エアコンロボットです。
「わたしたちの未来とロボット」というときの「未来」はす
でに始まっているということでになります。
1人が人間の子ども、もう1人がロボット。街ですれ違っ
てぶつかってケガをさせてしまいました。そういう時、
どうしたらいいのか…まだ法律ができていません。
つまりロボットとどう暮らしていくかというルールが決ま
っいません。ロボットとどう暮らしていけばよいのだろう。
野村先生からが人型ロボットではない、いろいろな
ロボットを紹介してもらいました。
2050年には何と…ロボットと人間によるサッカーの
大会が予定されているそうです!さて、勝利はどちら
になるでしょうか!?
これからロボットについて、もっともっと調べて行きま
しょう。ロボットでなければできないことは何だろう。
逆に言うと、人間でなければならないことは何だろう?

・宿題をやるロボットができれば便利だけど…それだ
 とロボットは賢くなるけど、みんなはどうなる?
・ロボットが友達になったら楽しい?じゃあ人間の友達
 は1人もいなくてロボットだけでもいいかな?


10月28日(水)ロボット第2回目授業

安行小にソフトバンクのペッパーがやってきました。 埼玉大学野村研究室のペッパー君です。
25分休みに視聴覚室に到着。昨年4年生でロボット
の授業を受けた5年生が見学にやってきました。
安行小学校のみなさん今日は!と話したら、ちょっ
と調子悪く再起動になってしまいました。
再起動して復活したペッパー君です。 野村先生の顔も声も認識していて、上手に話していま
す。
4年生ロボット2回目の授業が始まりました。 子どもたちもペッパー君をみてにこにこです。
子どもたちと挨拶をして、簡単な会話をしています。 ペッパーはコンピューターで相手を認識しています。
認識している情報をコンピュータでのぞいてみました。
しっかりと相手の顔や声が認識されています。
みんな一生懸命にメモをとっています。
コンピューターに命令を出す、簡単なプログラミング
について説明がありました。
プログラミングをしている様子もパソコン画面で
写してもらいました。
声も日本語の文字になって認識されています。 最後に、あまり聞き慣れないアクチュエーターについ
てお話がありました。研究者が頭を悩ましているとこ
ろだそうです。ロボットの動力の部分
人間はどうあるべきなのか、どう技術とつきあってい
けばよいのか、子どもたちと考えていきました。科学
技術の結晶としてのロボットは、どうあるべきなのか。
ヒューマノイド、優秀な人型ロボットの実現が理想なの
か。ロボットは人に代わりえるのだろうか。ロボットが
友だちということで、子どもたちは満たされるのだろう
か。つきつめればロボットに人の命を預けることがで
きるだろうか。ロボットの可能性と限界を考えていくこ
とは逆に、人間の限界と可能性を考えることでもあります。
 こう考えていくと、現在最も必要とされているロボット
はドラえもんのような人型ロボットというよりも、人間に
代わって危険な場所や過酷な環境で仕事をするレス
キューロボットかも知れません。原子力発電所の事故
構内での瓦礫を取り除いたり、御嶽山の噴火時に人命
を助けに行ったり、ダムにたまった土砂を浚渫したり、
介護の現場で人を運んだりすることのできるような「レ
スキューロボット」かも知れません。
子どもたちとは一学期に理科「電気」の学習で作った
モーターカーを改造して前後左右に動くレスキューロ
ボットを作ります。
その活動を通して理科の発展学習をめざすとともに、
未来のロボットについて考えていきました。子どもたち
がどんなロボットを考えるか楽しみです。

 11月13日 ロボット授業3回目

 これからしばらくは野村先生が忙しく授業には参加できません。野村先生からはメールで子どもたちの
ミッションをいただきました。

 野村先生からの3つのミッションを子どもたちがクリアーしていきます。

   1つ目のミッション。
一学期作った電気モーターカーをもう一度回路が
切れていないかどうか、確かめながら動かしてみま
す。
子どもたちは電池のプラスとマイナスを逆にすると
モーターが逆回転することを学習しています。
電池を逆にして、バックに挑戦。
場所が狭いので、視聴覚室だけでなく図工室も使い
ました。
ほぼ全員がクリアーしました。
続いて3つめのミッションです。
今回は養生テープだけを材料にして2台を改造して
もらいました。
左右のモーターのどちらかを止めます。
左のモーターを止めれば左に曲がる。 右を止めれば右に曲がるということがわかりまし
た。いよいよロボットづくりスタートです。


 この後は、しばらく各クラスごとにロボットづくりを行いました。
 改造の材料はプラスチックダンボール、針金、養生テープです。
 車を縦につなげてみたり、Tの字につなげてみたり、いろいろなアイデアが試されていきました。
 2台の車のうち中側の車輪を4つとって合体して4輪にしてみたり、なかには4輪4輪で合体して
 8輪の車も多かったです。なかには車輪がとれたことをきっかけに2輪のほうがよく進むという車
 も出てきました。

 机の上では動くけれど、なぜかカーペットの上だと動かない!?
 車が動かないときの問題解決にはみんな真剣にとりくんでいました。
 動かないとき、まずモーターは動くのか、動かないのか?さらに電池の電気はあるのか?
 モーターは動くけれどタイヤが動かない原因は何か?車体は曲がっていないか?
 
 こうして子どもたちが試行錯誤していくなかで、コントローラーを紹介しました。
 コントローラーを使うと、電池を逆にしなくても、前進、バックを切りかえることができます。
 いよいよ競技フィールドを用意しての走行テストの時間となりました。

11月27日(金) 走行テスト

手にもっているのがコントローラーです。
ボタンを動かすだけでモーターが前進、バックを切り
かえることができます。
コントローラには4本の導線があります。
赤、茶、オレンジ、黄色、それぞれがプラス、マイナス
の対となっていますが、この回路が組めない車はうま
く動きません。
2つのモーターのそれぞれの導線の先に、赤、茶、
オレンジ、黄色のどれをつければいいのか走行テス
トをして確かめます。
4年生、どのグループも真剣です!
ほぼレスキューロボットが形になってきました。 コントローラーを使っての走行テストも順調です。
マットの対角線上にスタートとゴールがあります。 これは練習用のカーペット。実際の競技は5×5
のひろさになります。

 12月4日(金)  
 安行小4年 第2回レスキューロボット大会!

いよいよ今日、12月4日はレスキューロボット大会
です。レスキューロボット大会実行委員が司会をして
進行します。
村校長先生も応援に来ていただきました。
「理科が学習したことを活かしてのロボットづくりが
素敵ですね。今日の大会、全力で、友達と協力し
て頑張ってください。」
いよいよスタートです。競技時間は3分間!
ゴールすれば10点もらえます。ゴールしなければ
0点です。
対角線上に、両方の角から兄弟チームそれぞれが
ゴールを目指します。
旗を持っている審判の合図でスタート!
イスに座っている人記録をします。
ゴールすると自然にハイタッチ!
やったぞ、ゴール!
2人1組で競技に参加します。互いに声をかけあい
障害物をさけながらゴールします。
障害物をたおすと1点減点になります。
記録は得点をメモしていきます。
さあもう少しでゴール。応援も暑くなります。 やったあ!ゴール!
ナイス!やったね! レスキューロボットにレスキュー道具をのせて走る
と加点となります。ホッチキスは5点、はさみは3点
です。この車は…成功すれば18点となります。
優勝候補ですね。
競技記録が表に記入されていきます。 もう少しもう少し!頑張れ。審判も思わず応援です。
最後のチームがゴール! こうしてレスキューロボット大会が終わりました。
各クラスの1位がそれぞれに表彰されました。
みんなの手作りでつくりあげたレスキューロボット
競技会大成功となりました。


 レスキューロボット競技会を終えて…いよいよ授業も大詰めです。
 これまでの活動を通して、私たちの未来に本当に必要なロボットはどんなロボットなのか
 子どもたちが考え、提案していきます。

 子どもたちの未来のロボットを楽しみにしていてください。


12月8日(火) 「未来のロボット」発表会 

12月8日(火)は、子どもたちが考えた「未来のロボット」発表会でした。これまでのロボット作りを
通して学んだことをふまえて、これからの時代、社会に必要なロボットを子どもたちが考えるロボッ
トを考え、発表しました。どういうロボットが本当に必要なのかを考えるということは、同時に、ロボ
ットにしかできないこと、逆に言えば人間がやらなくてはいけないことは何かと考えることです。

12月2日の新聞に日本は何十年後の、将来、人の仕事の49%がロボットに置き換わるかも知れ
ないというニュースがのりました。「将来、ロボットが人の仕事をうばってしまうかもしれない」
「ひょっとしたら会社の上司がロボットということもあるかもしれない」「学校の先生がロボットになっ
たらどうする?」とたずねると、子どもたちはみんな「えーっ!やだなあ」と声をあげていました。
未来のロボットを考えるということを通して、子どもなりに社会と技術、人と科学のありかたについて
考えていきました。

8日は授業参観もあり、子ども同士だけでなく、お父さんお母さんも参観にやってきてくれました。
各発表場所はクラス混合にして4クラス編成したので、子どもたちはどきどきはらはらしたようでした。
埼玉大学の野村先生も発表会にかけつけてくれました。各クラスごとにまわってお話をしていただ
きました。

野村先生からは、自分の考えたロボットをしっかりと
説明しよう。そして必ず聞いている人も質問や感想を
発表しよう。
感想というのは自分の意見ですね。おたがいの意見
を交流し合っていいロボット発表会にしましょう…とい
うお話をいただきました。
発表会スタート!
子どもたちは大きな画用紙にロボットの絵をかきまし
た。ロボットの名前、そのロボットを考えた理由、ロボ
ットのしくみをを説明していきました。
こちらは介護ロボットです。お年寄りを保護するので
ロボットの名前は「ホゴーン」です。
   
 足が伸びて、高さが調節できます。ほっぺにはライト
が組み込まれて、夜には歩く先を明るく照らします。
カーナビ機能もついています。おばあちゃんが笑顔
ですね。
 このロボットは、救助ロボット。火災の時に火の中
に入っていき、人間を助けてくれます。
介助ロボットです。車いすロボットで、足の高さが
調節できます。背中にはMRIのようなものがあり、
言葉が出ない人の気持ちを読みとり言葉にして声
を出してくれます。
ボディガードロボットです。重さ500kg
はば2m。高さ10mもあります。このロボットに守られ
たら、おそわれうことはないでしょう。
地震を知らせるロボットです。猫のひげが地震を予知
します。親子の猫ですが、地震が起きるとコネは羽を
出して空に舞い上がりります。目がカメラになっていて
街の被災の様子を写し、無線で親猫に伝え、親は掲
示板に写して、みんなに伝えます。
まだまだたくさんのロボットのアイデアが発表されま
した。洗濯をしてたたんでくれるロボット、発電ロボット、
放射線を遮断するロボットなどユニークなロボットがた
くさんあります!

最後に野村先生からは、「ロボットづくり」を通して学ん
だことがたくさんあると思います。みんなの素晴らしい
アイデアには感心しました。実に細かいところまで、わ
かりやすく描いて工夫してありました。」「発表会を通し
て、友達と意見を交流して、また一段とそのアイデアも
豊かになっていますね。ロボットの学習は一区切りしま
すが、これからもものづくりやロボット、未来のことを考
えて楽しく勉強していってくださいね。
最後に、みんなで野村先生にお礼を言って、発表会は
終わりました。